2018年2月6日
米金利上昇を受けた米株安が背景
2月6日の日経平均株価は前日比1,071円下落。1,000円を超える下げは英国のEU(欧州連合)離脱の
是非を問う国民投票日翌日の2016年6月24日以来。
日本株のスピード調整はほぼ終了と思われる。底値確認後、好調な企業業績や低金利の持続等を背景に
再び上昇基調に。今後の円・ドル相場の動向には注意が必要。
図表1:日経平均株価の予想PER
2月6日の日経平均株価は前日比1,071.84円、4.7%下落し、21,610.24円で引けました。主な要因は米金
利急騰を嫌気した米株安です。2月2日に発表された1月米雇用統計で民間部門の平均時給(前年同月比) が2009年6月以来約8年半ぶりの高水準となる2.9%に達し、インフレ懸念の高まり等から米10年国債金 利が約4年ぶりの水準まで上昇したことが主因となっています。これまでの株価上昇の背景には、FRB (米連邦準備制度理事会)が景気に悪影響を与えないようにゆっくりと利上げを進め、低金利下での景 気・企業業績回復が続くとの見方、いわゆる「適温相場」の継続期待があったものと思われます。その継 続に黄信号が灯ったことで、NYダウは2日に前日比665ドル安(−2.5%)、週明け5日には過去最大の 下げ幅である前週末比1,175ドル安(−4.6%)となりました。日経平均株価は5日に昨年12月末以来約 1ヵ月ぶりに節目となる23,000円を下回った後、6日は下げが加速して22,000円を割り込んで引けました。
市場では「適温相場」が終了し、株式市場が調整局面に入ったとの見方も出始めていますが、現時点では
そこまで悲観的にとらえる必要はないものと思われます。世界的な景気拡大等を背景に今後も企業業績の 拡大が続くことが想定されます。東証一部上場企業(除く金融)の2018年3月期の純利益は過去最高とな ることが予想されています。2月6日の日経平均株価ベースの予想PER(株価収益率)は、株価下落と業 績予想の上方修正で14倍台まで低下しています。日本の金利は日銀の金融政策を受け、引き続き低位で推 移することが予想されます。好景気を受けて金利が上がるのは自然の流れと考えられ、仮に米10年国債金 利が3%に上昇したとしても過去平均3.5%(2000年1月∼2018年1月、月末値)を下回る水準です。
トランプ政権の税制改革期待から昨年11月以降米株価に連動する形で日本株も上げ足を速めており、一部
では過熱感を指摘する声もありました。2月6日の日経平均株価は一般的に下値目処として用いられる200 日移動平均近くまで下落しています。日本株のスピード調整はほぼ終了したものと思われ、底値を確認し た後、好調な企業業績や低金利の持続等を背景に日本株は再び上昇基調に回帰するものと予想しています。 尚、リスク回避の姿勢が強まるなかでも足元の円・ドル相場は比較的落ち着いた動きとなっていますが、 今後円高傾向が強まる場合には日本株の調整が深まる可能性もあります。
図表2:日経平均株価と移動平均
1/2 出所)図表1はニッセイ基礎研究所、図表2はブルームバーグのデータをもとに
ニッセイアセットマネジメントが作成
臨時レポート
日経平均株価1,000円を超す下落
投資情報室
(審査確認番号H29-TB440)
14,000 16,000 18,000 20,000 22,000 24,000 26,000
16/7 17/1 17/7 18/1 日経平均株価
100日移動平均 200日移動平均 (円)
(年/月) データ期間:2016年7月1日∼2018年2月6日(日次)
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